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春を告げる赤と白。『いちご大福』の甘い魅力

私ども総本家駿河屋は室町時代に始まり、先代から受け継がれてきた歴史と伝統とともに、皆さまに愛され支えられてまいりました。

時代を経ても輝きを失わない定番の味わいも、
新しい時代と共に進化していく革新的な味わいも、

長年にわたって切磋琢磨しながら手を取り合ってきた『人』の想いが込められています。

3月は、大福長者のように白く福々しい姿が印象的な大福餅のバリエーション『いちご大福』をご紹介します。

和菓子の定番『大福』のルーツとは?

大福は和菓子屋だけではなく、どこのコンビニでも気軽に購入できる定番和菓子。そのルーツをたどっていくと、室町時代後期までさかのぼります。

丸い餅の中に塩味の餡がたっぷり入った『鶉餅』が、大福のルーツと言われています(おた福餅・あんびんという名称もあったようです)。

大福誕生の経緯は2説あります。
1つ目は江戸時代の随筆『嬉遊笑覧』。
こちらによると、鶉餅を焼いたり、焼き印を押したりしたものを『鶉焼』と呼び、それがのちに『腹太餅』という名称に。更にそれを平たくして、砂糖を加えたこし餡に中身を変えた際に『大福餅』という呼び名が定着したそうです。

2つ目は同じく随筆『宝暦現来集』より。
明和8(1771)年に、おたよという申女商人が『おた福餅』を売り始めるとそれが大流行。しばらくするとアレンジ版で砂糖入りの『腹太餅』が生まれ、更にそれを温めたものが『大福餅』と呼ばれるようになったそうです。

その後も大福は、“大きな福”という名前から縁起物のように庶民から人気を博しました。
よもぎを生地にした草大福、生地に赤えんどうを入れた豆大福、餡の代わりに生クリーム、コーヒー風味の餡に変えたものなどが誕生し、多種多様なバリエーションは令和になった今も増え続けているのです。

大福バリエーションの大ヒット菓子『いちご大福』

様々なバリエーションをもつ大福。その中でも高い人気を誇るのがフルーツ入りの大福です。
栗、バナナ、ブドウなど種類は多数ありますが、中でも一番人気なのが『いちご大福』。
1980年代に登場するや否や、「いちごの酸味と小豆餡の甘味の相性が抜群!」と評判を呼び、各和菓子屋でラインナップに加わるようになりました。

いちごは、餅で包み込んだり、切込みを入れた餅に挟んだりと、和菓子メーカーごとに特色を出していますが、総本家駿河屋では、いちごが大福の着物を羽織るかのような可愛らしい佇まいに仕上げています。

世界各地で様々な品種のあるいちごですが、駿河屋が選んだ品種は、和歌山県のオリジナル高級品種『まりひめ』です。

『まりひめ』は2010年に登録された比較的新しい品種で、和歌山県の民芸品『紀州てまり』のように可愛らしく、皆から愛されるようにと命名されました。

果実は丸めの円錐形で、甘味が強く酸味は控えめ。ほどよい実の固さと多めの果汁を楽しめる高品質ないちごです。

『まりひめ』を優しく包み込むのは、佐賀県の特上餅米『ひよくもち』でついたこしのある大福餅と、餅生地にとけ込むような練乳入りの白いミルク餡。
いちごを包んだその姿は、さながら『花嫁衣裳に身を包んだいちご姫』といったところでしょうか。

濃厚な旨味で食べ応えのあるいちご、品の良い甘さのミルク餡、ふわふわもちもちの大福。3つの味のハーモニーが見事に調和した駿河屋の『いちご大福』は、皆様を贅沢な気持ちにさせる春の自信作です。

2020年3月24日~4月8日までの期間限定商品ですので、『いちご大福』ファンの方はもちろん、まだ駿河屋ブランドを味わったことのない方もぜひご賞味くださいね。

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