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インタビュー
2019/07/01

総本家駿河屋発祥の店、京都伏見本舗の魅力

私ども総本家駿河屋は室町時代に始まり、先代から受け継がれてきた歴史と伝統とともに、皆さまに愛され支えられてまいりました。

時代を経ても輝きを失わない定番の味わいも、
新しい時代と共に進化していく革新的な味わいも、

長年にわたって切磋琢磨しながら手を取り合ってきた『人』の想いが込められています。

今回はいくつもある総本家駿河屋の店舗の中から、唯一和歌山県外で暖簾を掲げている『京都伏見本舗』についてご紹介しましょう。

総本家駿河屋の始まりは京都伏見から

総本家駿河屋は今でこそ和歌山県に拠点を構えていますが、実はそのルーツは京都府の伏見にありました。
室町時代中期の寛正2(1461)年、初代 岡本善右衛門が山城国伏見船戸の庄(現在の京都伏見)で饅頭屋を開業したことが総本家駿河屋の550年以上に及ぶ長い歴史の始まりでした。

時が進み江戸時代、五代目 岡本善右衛門が伏見・桃山城の正門前に店を開いた頃、桃山城を隠居先にしていた豊臣秀吉に『紅羊羹』(現在は『古代伏見羊羹』)などを高く評価され、駿河屋の評判は全国にとどろきます。

その後、桃山城に入った徳川家康の子息・頼宣にも駿河屋の和菓子は親しまれ、元和5(1619)年に頼宣が初代藩主として紀州(和歌山県)に入国する際、駿河屋の菓子職人たちは『御用菓子司』として共に紀州に入国。徳川家に仕える傍ら魅力あふれる菓子を作り続け、精力的に販路を拡大。和歌山の代表的な和菓子屋として現在に至っています。

一方、京都伏見の駿河屋はそのまま駿河屋発祥の店=総本家として事業を拡大。
京都府内でも近年まで数店舗を展開し、長きに渡り町の人々から愛され続けてきました。
そして、国内の和菓子屋が機械による菓子作りのオートメーション化を進めていく中、伏見本舗は一貫して職人たちによる手作りにこだわり、創業から受け継がれてきた製法と伝統を今も守り続けているのです。

伝統の味を受け継ぐ職人たち

伏見本舗、そして総本家駿河屋の味を支える2人の職人・吉田道生氏(写真右)、田中卓朗氏(写真左)に手作り和菓子の魅力についてお話を伺いました。

吉田道生氏(以下、吉田)「私は40年ほどここで和菓子を作り続けています。入りたての頃は大勢の先輩職人がいらっしゃったので、皆さんからたくさんの製法を学びましたわ。」

田中卓朗氏(以下、田中)「私は19年目です。一通り製法を学びましたが、最初の頃は季節菓子の作り方を覚えた矢先にすぐ次の菓子に切り替わるスピードについていけず苦労しました(苦笑)。」

吉田「私も苦労したで(笑)。何十種類もある季節菓子は販売期間が短いうえに全てが手作り。一通り製法を覚えこむのに少なくとも5年はかかりますね。」

田中「大変なことも多いですが、職人の腕の見せ所といった和菓子ばかりなので、モチベーションも上がります。私が特にやりがいを感じてるのは、寒天を使った生菓子。透明な寒天が固まる前に次の素材を入れていくんで、タイミングやスピードに注意しながら作っています。」

吉田「私のこだわりは看板商品の1つ『古代伏見羊羹』ですわ。なにしろ、季節や気温などによって羊羹の固さなどできあがり方が違うんです。糖度計で数値を合わせてみても仕上がりに波があるので、最後は経験から得た勘で炊き上げる時間を調節して、均一な仕上がりになるよう努力しています。」

伏見本舗ならではの手作りの醍醐味を体感しながら、ひたむきに和菓子と向き合う2人。今の時期は伏見本舗でしか味わえない限定菓子『竹清水』作りに日々奮闘しています。

伏見本舗限定『竹清水』 その製法とは?

田中「『竹清水』は青竹の中に水羊羹を流し込んだものですが、これは器となる青竹の加工から私たちで行っています。先ずは、仕入れてきた青竹の穴に回転するブラシを入れて洗い、表側も磨いてから天気の良い日にしっかり乾かします。」

吉田「プラスチックの容器やったら水気を拭くだけでいいんですが、これは国産で本物の生の青竹だから雑に扱えやんのです。」

田中「水羊羹は寒天、和三盆、こし餡を『竹清水』専用の割合で混ぜ、炊いて作るんですが、そのまま青竹に流し込むとこし餡だけが分離して沈殿してしまいます。なので、先に寒天が固まる寸前まで冷水で冷まし、そのタイミングで青竹の中に水羊羹を流し込む。それから青竹ごと冷やし、完全に固めてから笹の葉でふたをして、ようやく完成です。」

和菓子だけでなく容器となる青竹の加工まで手作りで臨む徹底ぶり。その情熱を支えるものとはなんでしょうか?

吉田「やっぱり、召し上がっていただいたあとのお客様の声ですね。私たちは基本的に接客をすることがないんで、人づてで聞くことになるんですが、“駿河屋さんのお菓子、やっぱりおいしかったわぁ”と仰っていただけると一番気持ちが高まります(笑)。」

田中「『竹清水』は、青竹の中から水羊羹を出していただくんですが、“ちゅるんと出てくる絶妙な柔らかさとほのかに香る竹の風味が味わい深い”とお客様からお褒めの言葉をいただいたそうです。そんな評判が聞こえてくると、1つ1つ丁寧なものを作ろうという気持ちがより強くなります(笑)。」


今日も伏見本舗では、職人たちが早朝から和菓子作りに精を出し、伝統の味を守り続けています。
皆様もぜひ実際に店舗へお越しください。
発祥の店としての“歴史の重み”と、550年間変わらない“風格漂う味わい”を全身で実感していただけると思います。

総本家駿河屋 伏見本舗

〒612-8083 京都市伏見区京町3丁目190
営業時間 : 9:00~18:00
定休日 : 水曜日
TEL : 075-611-5141
FAX : 075-611-5142
京阪本線『伏見桃山駅』徒歩3分ほど
近鉄京都線『桃山御陵前駅』徒歩3分ほど