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白と緑の優しき彩り。端午の節句を祝う行事菓子

私ども総本家駿河屋は室町時代に始まり、先代から受け継がれてきた歴史と伝統とともに、皆さまに愛され支えられてまいりました。

時代を経ても輝きを失わない定番の味わいも、
新しい時代と共に進化していく革新的な味わいも、

長年にわたって切磋琢磨しながら手を取り合ってきた『人』の想いが込められています。

元号の改正など、いつにも増して特別感のある2019年の5月。
そんな中、いつの世も変わらずに親しまれてきた家族の行事・端午の節句に欠かせない銘菓2品の魅力をご紹介しましょう。

端午の節句と行事菓子の結びつき

端午の節句は、今でこそ男の子の成長を祝う行事として定着していますが、元々は『菖蒲の節句』とも呼ばれた古代中国から始まった風習で、女性が疫病にかからないように薬草(菖蒲)でお祓いをするという、女性のための節句でした。

日本では『菖蒲(しょうぶ)』の読みが武道を重んじる『尚武』と同じだったことと、3月3日の女の子の節句と対をなすようにと、江戸時代の頃から男の子の成長を祈願する行事として庶民に定着し始めたそうです。

その行事にいただく和菓子が皆様おなじみの『粽(ちまき)』と『かしわ餅』。

『粽』は、諸説ありますが、中国の詩人・屈原が亡くなった5月5日に供物として楝の葉で包んだ米を川に投げ入れたものが起源とされています。日本では平安時代から宮中の節会などで『粽』を互いに贈りあう行事が始まり、京都(西日本)を中心に親しまれたといわれています。

『かしわ餅』は、江戸時代に登場。新芽が出てくるまで古い葉は落ちないという柏の葉の特徴が家系継続に結び付くことから、武都と呼ばれた江戸(東日本)を中心に広まりました。

その後、長い年月を経て『粽』と『かしわ餅』は全国に広まり、地域によっては年中店頭に並ぶほどの人気菓子として、今も愛され続けているのです。

祝いの席に欠かせない『粽』と『かしわ餅』の魅力

西日本に位置する和歌山県は『粽』のエリアとなりますが、紀州徳川家の存在があったためか、江戸時代には『かしわ餅』が『粽』とともに食されていたという記録が残っています。
※なかでも『かしわ餅』は、県内の地域によって様々な名称で伝わり『かしわまんじゅう』『おさすり』『いびつ』などの名称で今も呼ばれています。

総本家駿河屋においても『粽』と『かしわ餅』は、端午の節句の祝い菓子として皆様から長きに渡り親しまれてきました。

『粽』は外郎を笹にくるんだもので、程よい弾力のある食感や、包み紙を兜に見立てた立派な佇まいが好評を得ております。

伏見本舗限定の『かしわ餅』

『かしわ餅』は、外国産の材料で作る和菓子メーカーが増加する中、餡の材料に北海道の大納言小豆を用いるなど、可能な限り国産の高品質な素材を使用。
中でも、京都にある伏見本舗では、機械による製造ではなく、職人が毎年4000個以上を一つ一つ手作りで仕上げているのです。

伏見本舗の『かしわ餅』は、和歌山県の本社工場小倉店で作られている丸い餅とは異なり、貝殻にも見える『あみがさ餅』と似た形が特徴。
うるち米で作った団子生地を伸ばし、餅の食感に合わせて配合した餡を白(こし餡)とよもぎ(つぶ餡)それぞれにのせて、生地に包み込み蒸し上げます。

職人のこだわりはこの蒸し加減。『かしわ餅』は、1つのせいろで50個を同時に蒸し上げるのですが、蒸し加減を誤ると生地の真ん中に亀裂が生じてしまうため、長年の経験で培った繊細な調節が必要です。
そして、少し間をあけてからの『二度蒸し』を行います。もう一度蒸すことで生地がよりシコシコし、心地よい歯ごたえを楽しめるようになるのです。

また、伏見本舗では隠れた逸品・味噌餡入りの『かしわ餅』も期間限定(5月1~5日の5日間のみ)で店頭に並びます。
少し黄色味を帯びた生地の中には、西京味噌と餡、隠し味に赤味噌を少量加えて調合したオリジナルの味噌餡が入っており、「まろやかな甘さの中に漂う味噌の風味がたまらない。」とお子様よりも通好みな大人の方々から高い評価をいただいております。

和歌山県内の各店舗で販売される丸い『かしわ餅』

伏見本舗の『かしわ餅』を主に紹介致しましたが、もちろん和歌山の丸い『かしわ餅』も日々午後の早い時間には売り切れる人気菓子です。

10日間にも及ぶ今年のゴールデンウイーク。まだスケジュールに空きがございましたら、和歌山と京都、それぞれの『かしわ餅』を続けてご賞味いただく、総本家駿河屋和菓子ツアーなどをご計画してみてはいかがでしょうか。

スタッフ一同、皆様のご来店を心よりお待ち申し上げております。