特集

美しき深緑。さわやかな初夏にふさわしい抹茶味の和菓子

私ども総本家駿河屋は室町時代に始まり、先代から受け継がれてきた歴史と伝統とともに、皆さまに愛され支えられてまいりました。

時代を経ても輝きを失わない定番の味わいも、
新しい時代と共に進化していく革新的な味わいも、

長年にわたって切磋琢磨しながら手を取り合ってきた『人』の想いが込められています。

4月は抹茶の新芽が顔を出す季節。今回は、これから旬を迎える抹茶の季節限定菓子2品の魅力をお届けします。

抹茶文化の変遷

抹茶とその製法は、12世紀の僧侶・栄西が中国から日本へ持ち帰ったものと言われています。
当初は貴族や有力者のみが口にする高級な飲み物でしたが、他のお茶と異なり茶葉を粉末状に加工するため、いつの頃からか、飲料用に加え風味付けの食品用としても使用。
抹茶の粉を練り込んだ『茶団子』や『茶そば』などが、徐々に一般家庭でも味わえるようになっていったそうです。

明治の頃には、今ではおなじみの抹茶味のアイスクリームが登場。
その後も様々な食品に取り入れられ、国内外の食品メーカーがほろ苦い抹茶の味わいに注目し、
平成に移り変わった1990年代には、新たな抹茶味のお菓子・食品が次々と店頭に並ぶようになり、定番の味になっていったのです。

現在では、抹茶の成分(カテキンやビタミンなど)にアンチエイジングやダイエット効果があることがわかり、アメリカ、オーストラリア、中国などで健康志向を意識した料理やスイーツが楽しめる抹茶カフェ(バー)が次々にオープン。
日本の抹茶文化は世界的なブームを巻き起こし、その勢いは今もとどまる所を知りません。

新緑香る初夏限定の味『抹茶羊羹』


抹茶味が世間一般に浸透するよりも以前の昭和30年代。
総本家駿河屋における抹茶味の代表的和菓子『抹茶羊羹』が誕生しました。

抹茶のやや強めの苦味と、羊羹の落ち着いた甘さが絶妙なバランスで整えられた銘菓として、
今もご好評頂いておりますが、誕生当時は『挽茶(ひきちゃ)羊羹』という名称で親しまれ、
昭和50年代後半にはシンプルな『茶羊羹』に改名。その後、現在の『抹茶羊羹』の名称に落ち着きました。

使用する抹茶は、京都の宇治抹茶をベースにしつつ、様々な銘柄の粉を総本家駿河屋独自のブレンドで調合したものです。
お茶を点てる時と同じように茶筅で抹茶をゆっくり混ぜ、釜で炊き上げた練羊羹に流し込むのですが、実はここが職人たちにとって一番気を使う工程。
抹茶が均一にしっかり混ざっていないと流し込んだ羊羹の中に『ダマ(粒)』と呼ばれる抹茶の塊ができてしまうため、味と見た目に影響を及ぼします。また流し込む抹茶の量が多すぎると羊羹の色味が真っ黒になってしまうため、職人たちは、抹茶の色味と風味が毎回均一になるよう羊羹の粘度を調整しながら手作業で仕上げていくのです。

もっちり皮と抹茶羊羹の融合『花つむじ 抹茶』


もう一つの季節限定菓子『花つむじ 抹茶』は、もちもちとした生地にやわらかい抹茶の羊羹を巻き込んだ一口サイズの和菓子。

彩りと味わいが『和』を感じさせ、ロールケーキのような佇まいが『洋』を感じさせる…と、評判の高い一品です。
(花つむじは他に、春の『桜』、秋の『安納芋』がございます。)

製法にも手間暇がかかっており、職人が2時間かけて焼き上げた生地に、宇治茶の老舗『山政小山園』の良質な抹茶が練り込まれた羊羹を流し込みます。
その生地を『の』の字に巻いたのち、羊羹の熱を冷ましてから一つ一つカットしていくという工程。
時間をかけて最良のお菓子に仕上げる職人のこだわりが随所に散りばめられているのです。

他にも『ブッセ』や『味がさ』といった総本家駿河屋の定番菓子にも抹茶味が加わり、バリエーションは年々豊富になっています。
「他にどんな抹茶菓子があるの?」と興味を持っていただいた方は、ぜひ店舗やオンラインショップを覗いてみてください。
世界が認めた抹茶の魅力を最大限に活かした、総本家駿河屋ならではの和菓子をご堪能いただけると思います。