特集

季節菓子
2019/02/25

初節句のお祝いに。雛祭りを優美に演出する2つの雛菓子

私ども総本家駿河屋は室町時代に始まり、先代から受け継がれてきた歴史と伝統とともに、皆さまに愛され支えられてまいりました。

時代を経ても輝きを失わない定番の味わいも、
新しい時代と共に進化していく革新的な味わいも、

長年にわたって切磋琢磨しながら手を取り合ってきた『人』の想いが込められています。

今回は、3月3日の雛祭りを華やかに彩る名菓2品を、雛祭りの歴史とともにご紹介します。

雛祭り文化の歴史

雛祭りは、雛人形を飾る女子の節句ですが、元々は中国から伝わった文化であり、
かつては『上巳の節供』と呼ばれていました。
日本では平安時代の頃から厄払いをする日として行事が執り行われ、
江戸時代に入ってから、人形を飾って女子の成長を祝う、現在のスタイルに近い行事になったそうです。

お祝いの席には色とりどりの雛菓子が並びますが、中でも印象的でなじみ深いのは、
カラフルな三色の『菱餅』ではないでしょうか。

『菱餅』は今でこそ『赤・白・緑の三段重ね』でイメージが定着していますが、
江戸時代の風俗について当時の学者が調査した『諸国風俗問状答』によると、
雛菓子として三色の菱型餅を重ね始めたのは、和歌山県とその隣県・三重県である可能性があり、
色も当初は『青・白・黄(和歌山)』『紅・黄・白(三重)』だったという興味深い記述がありました。
(※諸説あります。)

『菱餅』は、いつの頃から今の色と形に定着していったのか?
今もなおその変遷については謎のベールに包まれています。
そして、総本家駿河屋においても『菱餅』は独自の形に変容を遂げていったのです。

謎と浪漫に満ちた三色餅『あみがさ餅』

総本家駿河屋における雛菓子の顔といえば『あみがさ餅』。
古くから和歌山県内で親しまれてきた初節句の祝い菓子です。

『あみがさ餅』は、上糝粉を練ってあみがさ(※はまぐりという説もあります。)の形状にした餅の中に
こし餡を入れたポピュラーな和菓子です。
ところが、総本家駿河屋の『あみがさ餅』は、形状こそ従来と同じながら
『菱餅』を想起させる赤・白・緑の三色をそれぞれ独立させて餅に配した、
他ではあまり見られない彩りになっています。

ベテランの職人たちの間でも
「50年前にはすでに作っていたが、いつからこの色と形状になったのかは調べてもわからない」という、
和歌山の『菱餅』の変遷と同様に、謎と浪漫に満ちた餅菓子なのです。

『あみがさ餅』は、現在も職人たちが一つ一つ手で包み込んで作っているのですが、
職人によってそれぞれ手の形や大きさが異なるため、あみがさの形を均一に仕上げるのが大変難しいとのこと。
そういった手間暇を感じながら、視覚で餅の美しい曲線と色の艶やかさを楽しみ、
味覚で程よい甘さのこし餡をいただくのも一興ではないでしょうか。

可愛らしさを追求した逸品『雛生菓子』

総本家駿河屋のもう一つの定番雛菓子が『雛生菓子』。
薯蕷饅頭を煉切の着物でくるみ、雛人形に見立てた上生菓子で、
緑と桃色のきんとんは、橘、桜を表現しています。

もちろんこちらも職人による手作り。
素材一つ一つの色合い、質感などにこだわり、雛祭り当日までの数日間に1日200個以上も作りあげています。
数多く手掛ける中で、職人たちが最も意識しているのは、
『雛生菓子』を可愛いらしく優美に魅せること。
お子様たちに一目で雛人形とわかっていただけるように象るとともに、
淡く上品な色合いを用いて、見る者の心を癒す可愛いらしさを菓子にまとわせるのです。

総本家駿河屋では、雛祭りをより思い出深く印象的なイベントにしていただけるよう、
期間限定の2品を通じてお手伝いしてまいります。
桃の花の優しい香りとご家庭の温かな笑いに包まれながら、ぜひご賞味ください。