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和菓子
2020/01/01

平安時代より伝わる由緒正しき新春の祝い菓子

私ども総本家駿河屋は室町時代に始まり、先代から受け継がれてきた歴史と伝統とともに、皆さまに愛され支えられてまいりました。

時代を経ても輝きを失わない定番の味わいも、
新しい時代と共に進化していく革新的な味わいも、

長年にわたって切磋琢磨しながら手を取り合ってきた『人』の想いが込められています。

2020年最初を飾る今回は、新年を祝うにふさわしい正月菓子『花びら餅』をご紹介します。

花びら餅、誕生の経緯

『花びら餅』は、平たい白餅に紅い菱餅、味噌餡と甘煮にしたごぼうを置き、半円状に折り畳んだものです。
和菓子にごぼうという不思議なビジュアルを持つこの菓子は、平安時代の『源氏物語』にも登場する『歯固め』という儀式が起源とされています(諸説あります)。

歯固めとは、猪や鹿の肉、大根、瓜、押鮎(塩漬けの鮎)、餅などの堅いものを食べる宮中の正月行事。
齢を固める(長寿を願う)という意味が込められており、この儀式が洗練されて、押鮎の代わりにごぼう、その他の食材の代わりに菱餅、味噌を挟むスタイルの『菱葩(ひしはなびら)』に変容を遂げました。

菱葩は江戸時代になると『包み雑煮』とも呼ばれるようになり、皇室のおせち料理・配りものなどとして使われていたそうです。
この頃の菱葩は直径約15センチで、小豆の渋で染める菱餅は横幅が約14センチ。味噌味で餅に甘味はありませんでした。
それが明治になった頃、ある一族が宮中より許しを頂き、菱葩を『花びら餅』という呼び名に変えて、新春の茶行事『初釜』の菓子として使うようになったそうです。

これを機に餅は一回りサイズダウン。味噌が味噌餡に変わり、餅生地にも甘味がついた現在の形になって、誰もが食べられる和菓子として知られる存在になったのです。

ごぼうの香り、風味、食感が癖になる逸品

日本全国に広まった『花びら餅』は、ごぼうが2本挟まったものなど、地域によって少し形が違いますが、総本家駿河屋の『花びら餅』はごぼう1本を挟んだスタンダードな佇まい。

和菓子に組み込まれることが稀なごぼうは、砂糖水を吸わせてからグラニュー糖をまぶして乾燥させています。サクッとした食感と思いきや、味噌餡などの水分を吸っているためジュワっとした歯ごたえ。香りと風味も格別です。

餅の中にうっすらと紅色の菱餅のようなものが見えますが、実は菱餅ではなく菱型に整えた紅羊羹。伝統の行事菓子に駿河屋らしさを取り入れたこだわりの一つです。

その下には西京味噌で仕立てた味噌餡。赤味噌をほんの少し加え、独特な甘塩っぱさを堪能できます。

素材を包み込むお餅にも一工夫。
蒸した餅粉に砂糖水を加えた後に卵白を入れて、白さと柔らかさを兼ね備えたフワッとした餅に仕上げています。

ごぼう、羊羹、味噌餡、餅。4つの素材を調和させた駿河屋の『花びら餅』は、「価格以上の美味しさに驚いた」「正月限定なのが勿体ない」とお客様からの評判も高い逸品です。

総本家駿河屋では、他にも正月限定の和菓子を多数取り揃えております。
ぜひ店頭やオンラインショップにてお確かめください。
※『花びら餅』は12月29日から1月15日まで販売しております。

本年も総本家駿河屋は、和菓子を通じて皆様に笑顔を届けられるよう日々精進して参ります。
どうぞ変わらぬご愛顧を賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。

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